わたしはここ数年、
イグルーの魅力に完全に取り憑かれています。
寝ても覚めても、
冬だけでなく春も夏も秋も、
どんなふうにしてどんなイグルーを作ろうか、
そればかりを考えています。
3年前、
冬は最低気温が毎日氷点下20℃以下になる野営場で頻繁にキャンプしていたころ。
ストーブなどの暖房設備を持たないキャンプスタイルの私たち夫婦。

焚き火の熱を極力逃さないよう雪のブロックで自分たちのエリアを囲み、
タープで屋根をかけ暖をとっていました。

そうして極寒の中で何日も遊んでいるうちに、
前職で雪洞を作り寝泊まりしたことを思い出しました。
楽しかったこと、
意外と暖かかったこと、
何日も保てたこと。
また、
子どものころ除雪山に穴を掘って、
ダイニングを作り兄弟4人で夕食を食べたこと、
雪の中で過ごす楽しさをまた思い出しました。
でも、まだ積雪の少ない12月、
大人が快適に過ごす大きさのかまくらを作るには雪が足りませんでした。
そこで、
雪ブロックをせっせと作っていたこともあり、
イグルーを思いついたのでした。
カナダの先住遊牧民イヌイットの家。
圧雪ブロックを螺旋状に積み上げていきます。
とはいえ、
イグルーを完成させるのには
ものすごい気力と体力が必要です。
そして集中力。

何度も失敗、挫折し、
この4年で成功したのはわずか3回。
気温の低い北海道の雪はサラサラで固まりにくく、
雪ブロックを一つ作るのに5分も10分もかかることも。
雪と雪がなかなかくっつきにくい低湿度の中では、
ようやく作った雪のブロックも少しの衝撃で簡単に崩れます。
1時間で4つしかブロックを付け足せなかったことも。
反対に、
気温が高くなればあっという間に屋根が落ち、
崩壊してしまう雪のイグルー。
何がおもしろいのか。
正直よくわかりません。
その難しさの中におもしろさがたくさん隠れている、
それはなんとなく感じています。
あまりにも大変で、
というか大変しかなくて、
最初から最後までずーーーっと大変で、
イグルーって楽しいよーとか、
一緒にイグルー作ろうよーとか、
誰かに伝えようなどと考えたことがありません。
とにかくわたしは、
この一筋縄ではいかないイグルーの難しさに
ただただ挑戦し続けたいのです。
簡単にできないからこそおもしろい。
それがイグルーのおもしろさなのでしょうか。