あるキャンプ場のオーナーさんに快諾していただき、
イグルーに挑戦することになったときのお話です。
そのキャンプ場は冷え込みが激しい土地で、
暖かい日でも日中は氷点下10℃以下、
夜は氷点下20℃を下回ります。
ビールは開けた瞬間シャーベットになり、
アルコール度数13℃のワインも朝にはカッチコチ。
クーラーボックスの中で食料も冷凍される、
全てが一晩で凍ってしまう寒さです。
そんな場所でイグルーづくりをすることになりました。

雪の重みで木が倒れてこない場所ならどこでもいいと言っていただき、
この場所に決めました。
まずはイグルーの大きさに合わせ、
スノーシューで踏み固めます。

そして圧雪ブロックづくり。
あのときは発泡スチロールを型にしていました。
雪壁造りで散々圧雪ブロックを作っていたので、
かなりボロボロでヒビも入っています。

まだこのときは気付いていなかったのですが、
春になって雪が解け出したとき、
無数の発泡スチロールの破片が転がっていて、
非常に残念な気持ちになりました。
大自然の中に散らばる無数の小さな白いゴミ。
必死に拾えるだけ拾いましたが、
拾え切れないものもたくさんありました。
場所を貸していただいたキャンプ場の方にも
とても申し訳ない気持ちになりました。
それ以来発泡スチロールはやめました。
イグルーづくりの話に戻ります。
常に氷点下10℃以下の場所ですから、
握っても全く固まらないサラサラの雪しかありません。
その雪をスコップで型に入れ、
手でゆっくりと圧をかけ固めます。
このかためる作業がとても重要で、
時間がかなりかかります。
力強くぎゅっぎゅっと押してしまうと、
型の中で雪が移動するだけで固まりません。
両手で真上からじわーっじわーっと圧をかけ、
押し固めていくしかありません。
今年のイグルーづくりでもそうでしたが、
両手で真上から圧をかけるので、
手首が90度の状態が長時間続き、
軽い腱鞘炎になります。
今年もイグルーを作り終えて2週間経ちますが、
まだ手を付くと痛いです。
3年前のこのときは、
1段目20個を並べるのに1時間半かかっています。
よし固まった!と思ってひっくり返しても、
型を抜いた途端崩れてしまうことが多々。
5回に1回は失敗していたような気がします。
理由はわからないのですが、
その崩れた雪をもう一度型に入れ、
固め直して使おうとしても、
なぜかきれいな圧雪ブロックにはならないんですよね。
再び崩れてしまうんです。
これは何度もやってみて学びました。
そして、2段目。
少し要領を掴んだのか、
1時間10分で積み終わりました。

この日は平日。
夕方から家庭教師の仕事が控えていたので、
作業はお昼まで。
その日の夜、
仕事が終わって帰宅してから描いたのだと思います。
写真が残っていました。

今でもやっていますが、
お酒を飲みながら何枚も何枚も描いています。
描きたくなっちゃうんですよね。
イグルーづくりの作業に入ると、
正直しんどいという気持ちが一番です。
そう考えると、
もしかしたらイグルーの図を描いているときが、
一番わくわくで楽しい時間かもしれません。