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わたしが『自由』を手に入れたきっかけ

ここ5年ほどで、
少しずつ、少しずつ、
『自分らしく生きているなあ』
と思える今に向かっていたとは思うけれど、
大きく変化したのは4年前でした。

私が自分らしく生きるために、
考え方が変わる一番最初のきっかけを与えてくれたのは、
愛犬ぼんなでした。

ぼんなという名前は、大好きな山菜から。

ぼんな(柴犬♂) 大好きな山菜の名前を付けました


6歳で原発性緑内障という遺伝性の病気で左眼を失明。
そのとき、いずれ右眼も視力を失う日が来ると宣告を受けました。

外で遊ぶのが大好きなぼんな。
いったい私に何ができるだろう。

まず真っ先に思ったことは、
とにかく1日1日を悔いのない日にしていこう。
1日1日を全力で生きよう。
その決心が大きな大きな第一歩でした。

ちょうどその1年前、
私は個人事業主としてスタートしていて、
仕事頑張るぞーとかなり張り切っていました。

ぼんなが病気になって、
『ぼんなの毎日を楽しいだけの毎日』にしてあげたい、
そう強く思ったとき、
私はふと気付いたことがありました。
365日24時間、全部、私は自由じゃない?と。
過去、公務員として働いていた時もありましたし、
組織に所属していた時期もありました。
そのときとの違いを改めて感じたのです。

自分の自由の大きさに気付いただけで、
とくに生活スタイルを変えたわけではありません。
今の私の時間は何にも縛られていない。
私がいつでも自由に決められる。
めちゃくちゃ自由じゃん!!!
って気付いただけです。

そうすると考え方に変化が起きました。
家庭教師として主に平日の夕方から夜にかけて授業をしていますが、
その授業のある平日の日中は『仕事に行く前の時間』、
『仕事に十分な体力を残しておかなければならない時間』、
そうとらえていたんですね。
それが、
『私の自由な時間』、
『好きなように過ごせる時間』、
急に『自由』を感じるようになったのです。

そりゃそうでしょ、
最初からそうだったでしょ、
普通に考えればわかることですが、
不思議ですねえ、
自分で自分を仕事に縛り付けていたのです。
仕事の日はたとえ日中フリーでも自由の時間ではないんだと。

急に『私は自由だ―!』と感じられるようになり、
夜に授業を控えた日の日中も思い切り楽しめるようになり、
驚いたことに、
仕事の時間もどんどん楽しくなっていきました。

あ、それまでも家庭教師の仕事は楽しいと感じていましたよ。
生徒たちのためにただただ頑張らないと、と固く考えていたのです。
それが、一緒に授業の時間を楽しもう!に変わったのです。
『仕事を頑張る』から『仕事を楽しむ』に。

全盲でも躊躇なくガンガン突っ込んでいきます

愛犬の話に戻りますが、
ぼんなは結局、
左眼失明から2年後、
右眼も失明。
8歳で全盲となりました。

ですが、彼のスタイルは何にも変わりませんでした。
怖くないのか?と思いますが、
川があるとわかると一直線に突っ込んでいき、
じゃぶじゃぶどこまでも歩き進んでいきます。
足が付かない深さにも果敢に挑むので、
そりゃそうですよね、
時々ぷかぷか流されています。
自分で岸にたどり着くこともできますし、
私がリードでコントロールし浅瀬に引き寄せることもあります。

ぼんなは自由です。
一緒に暮らしていて毎日思います。
『自由だな、ぼんなのように生きたいな』
全盲という枠にとらわれることなく、
彼はやりたいことをやり続けています。

私が自分で自分を苦しめていた枠を、
ぼんながどんどん外してくれています。

見えているときよりなぜかスムーズに頂上を目指します

山登りだってできますよー。
確かに見えているときよりは時間はかかりますが、
私たちが歩くのにちょうどいいペースぐらいです。
見えていたころは、
『遅いんですけど』って顔でいちいち振り返り、
『早くしてください』って不満そうでしたから。

ボケてますが楽しそうです(藻岩山)

人間だったらこんなに普通に歩けません。
動物って強いです。
『見えない』という状況を真正面から受け入れて、
『さて、どうするかな』と解決策を探り、
目の前にある壁を淡々と乗り越えていきます。

一番の趣味は除雪山登り。
なぜそこに除雪山があると分かるのか、
形の分からない雪山をなぜそんなにスムーズに昇り降りできるのか、
謎だらけです。

そんな日々を過ごしていて思うのは、
可能性って無限大だな、ということです。

全盲になったらあれもできなくなる、
これもできなくなる、
勝手に決めつけていました。
そう、決めつけていたのは私です。

どうなるかなんてわからない。
何かあったらその時考えればいい。
いま目の前にあることと向き合う。
いまある状況を楽しむ。

本当に、大きな大きな第一歩でした。

ありがとう、ぼんな。

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